まぁエベ釣る前によぉ、まーたゼーハーでかくなってっか様子見っぺ。

ちと前によぉ、根津の竿富親方んとこ行ってな、お竿の修理がぁ上がったっつーんで、取りにお伺いしたところ、んな水箱がぁ置いてあったんでよぉ、かなるお手頃価格でぇ親方からぁお譲り頂いたんだよ。
ぺかぺかの新品みてぇな良い状態だったけどな、帰りにぃ駅の改札でぇ落っことしちまいやがってよぉ、思いっきし傷付けちまって凹んぢまったわ。
六月の十七日わよぉ、その修理して頂いたぁお竿、島田汀石さんの貴族高級ゼーハー和竿持って行きました。
布袋っ穂の矢竹追継二本付きだけんども、修理ん時わぁ親方曰く、大手術でよぉ、穂先んとこ俺が糸通してもな、糸和竿通るんだがぁ引っ掛かりがぁすんごくてよぉ、するっと行かねぇで、詰まっちまうんで親方に修理にお願いしたんだよ。
島田汀石さんて言やぁ、初代竿忠親方の親戚筋、竿稲さんの孫弟子にあたるんだよな。
んで著書も発行されてて、鮎竿やぁ渓流のお竿で名を馳せられた方だ。
東作本店のぉ松本御大によるとよぉ、何でも竹屋からぁ良い竹がぁ出るとな、六代目と競り合って竹買ってた位の因縁がぁ有ったそーだぞ。
竿富親方もよぉ、島田汀石さんわぁ大塚にお住まいだったそーで、根津からぁ近いっつーのも有るんでな、結構交流がぁ有ったそーだ。
んで、何か修理がぁ後々有れば、竿富親方頼みますよっつー話も有ったそーだぞ。

つーんでよぉ、俺わぁ竿富親方んとこでな、地方からぁ送られて来る島田汀石さんの鮎のお竿なんかがぁ、修理に来るの何回かぁ見てんだよ。
このお竿、糸通らねぇんで不思議だったが、竿富親方がぁこりわ修理半端無かったとの事でよぉ、穂先わ何と帝王切開だと。
穂先の中に詰まってたんわ、かなるのタカ切れしちまった糸屑でな、こりわが原因で糸が通んなかったっつー訳だ。
穂先わぁお陰でよぉ、帝王切開のぉ上からぁ糸巻いてぇ其の上に漆で固めて頂きました。
かなるぼろぼろなお竿だけんども、島田さんのお竿なら、治してでも使うほーが良いんだよっつー親方からぁの後押しがぁ、其処まで良いお竿なんかよ?っつー僕ちんの心に火を着けちまったんだよなぁ。

今季初購入のイソメわ、竿富親方んとこで買った水箱に仕込みました。

釣れんわまぁーだまだ、んなしょぼいゼーハーばっかだけどよぉ、汀石さんのお竿もぉ軽い乍びしーっとしてましてぇ、こんくれぇならぁ、釣り味もぉ悪かぁねぇよ。
何つーの?塗り何かぁ汀石さんの場合、ぜーんぜんデーハーな事ぁやらねぇ。
基本東作塗りみてぇな朱塗りか透き塗りがぁ殆どなんじゃねえの?
押上の竿辰親方もぉ、かなる交流がぁ有ったそーですがぁ、竿辰親方のぉ釣りに特化した素朴さによぉ、東作的なぁ繊細な美しさを混ぜ合わした様な感じがするのお竿かなぁと思った次第だ。

俺にゃあでけぇゼーハー出無かったんだがぁ、俺のを尻目に近場でうろちょろしてたぁ浅草のドンファンわよぉ、内緒でんなでけぇゼーハー揃えて来やがんだぞ。
おやっさんの使ってるお竿なんかぁ、グラスのくっそ安いやつだけどよぉ、まぁー実わ釣果わな、お竿の先お陰じゃぁーねーの知っているんだけどぉ腹わ立つわぁーな。