毎日、うまい棒だけ食う生活がぁ始まりました。
2016年 01月 25日
ボトルキープのジントニックとよぉ、不本意に折っちまったぁ寿浩さんのお竿持ってよぉ、肩落としてぇとぼとぼと稲荷町を歩く僕ちんが居た訳ですよ。
稲荷町っつーたらよぉ、行くんわぁ持ちの論、稲荷町東作本店っきゃぁ用わねぇ。
しかーし、その用っつーんわ、折っちまったぁ寿浩さんのお竿の修理っつー情けねぇ用事なんでよぉ、松本御大に合わせる顔もねぇえや。
「ズラ健児、此間買ったぁお竿、どっか具合悪ぃい所でもあったかぁ?」
つい数週間前に買ったばっかのお竿持って現れたぁ、不肖ズラ健児によぉ、松本御大もぉちと驚かれた感じだがぁ、かくかくしかじか、お竿を折っちまったぁ経緯おはなしてよぉ、ジントニック一杯かっ食らったらぁ、良い気分になっちまってぇ、今も現役でぇばりばりとお竿を作られてる寿浩さんのお竿だしな、直ぐ穂先作り直してくれんだろって話してたらよぉ、
「実わよぉ、ズラ健児に買って貰いてぇお竿があんだよ。」
と来たもんだ。
五世四代目竿忠親方ならよぉ、冷やかしばっかのおめーにゃあ売らねぇよって、いっつも言われる所だがな、こーいきなしストレーツによぉ、天下の稲荷町東作本店の松本御大に言われちまったらぁ、ジントニックの酔いも抜けてよぉ、思わず起立して怯んぢまう事仕方ねえ。
そう仰ながらぁ松本御大が裏から持って来られたんがぁ、
おいおい、来たよ来たよ。
こんなお竿、俺みてぇな貴族じゃ無くてよぉ、雲の上の天上人がぁ使うお竿じゃねぇの。
現在江戸和竿界頂点に立つ、江戸和竿を芸術の域に迄高めたぁ至高の職人っつーか芸術家、松本三郎、東作六代目のお竿じゃねぇか。
貴族で侍で横綱わ喰わねど高楊枝。
当然持ち合わせわぁねぇし、お値段聞いて、しょんべんちびるくれぇだったけどな、是非買わせて頂きますが、お足が準備出来るまで、お取り置き宜しくお願い申し上げますと頭下げましたよ。
この日からぁ、毎日うまい棒で飢えをしのぐ生活が始まりました。