一月二十七日わよぉ、運命の日だったよなぁ。
2014年 02月 13日
実わよぉ、竿しば親方からぁお電話が有ってな、東京都伝統工芸品展の竿しば親方が当番する日によぉ、貴族で侍で横綱の僕ちんに新聞社がな、取材してぇから来て来れやって頼まれてたんだよ。
俺もよぉ、貴族で侍で横綱だかんな、快く引き受けてな、ギャラわ要らねぇよって言っといた。
後もー一つ目論みが有ってよぉ、、当日わぁ竿しば親方とぉ竿忠親方のダブルご長老タッグだったんでよぉ、例のよぉ、一昨日此処で見かけちまったぁ竿忠親方のお竿な、下げたくねえ頭下げて土下座してよぉ、嘘泣きこいて家のおっかぁに借りた大枚持ってな、ちとスカイツリーからぁ北十間川に飛び込む思いで買っちまおうと思ったわけよ。
このチャンス逃したらよぉ、もー竿忠四代目のお竿なんかぁな、あの値段で手に入れる事ぁあねぇーだろ。
先ずわよぉ、竿しば親方にポーズ取って頂いてな、かっちょいい所一枚パチリだ。
今時ゃあよぉ、竿しば親方の奥さんもいらしててな、相変わらずご夫婦仲が大変よろしゅう様で。
竿しば親方ってよぉ、写真撮んの大好きなんだよな。
親方がぁ被写体に何のも大好きなんだけどよぉ、何時もの如く、こん後にゃあ親方よぉ、林家ぺー状態でな、俺と竿忠親方の写真ぱちくり撮り捲ってたぜ。
んでよぉ、竿忠親方にな、ちと竿忠四代目の超貴族高級和竿お譲り下せぇっつーといたらよぉ、冷やかしばっかのズラ健児にゃあ売りたくねぇーなぁとか仰るんだよ。
そりゃあ竿忠親方なりのよぉ、南千住ジョークだけどな、どーもよぉ手数料引かれちまうし、この値段でぇ天下の竿忠のお竿売りたくねぇらしいわ。
まー相変わらず江戸っ子気質の頑固なお爺さんだよなぁ。
そん後よぉ、もー記者さんがお見えになってたんでな、茶店行ってぇ僕ちんわぁ九十分くれ取材受けてな、下谷神社大明神様、竿忠親方のお竿売れてませんよーにっつーてよぉ、展示場戻ったんだわ。
俺が戻って来る間によぉ、竿忠親方も観念したご様子でな、おう、どっちがぁ良いか持ってけぇって仰って下さってよぉ、どどーんとぉ両方ケースん中からぁ出して頂いてな、継いで俺に見せてくれたんだよ。
両方ともよぉ、鮒竿って書いた値札が置いて有ったんだけどな、一本わぁどー見てもぉ二本仕舞いだしよぉ、仕舞い寸法も長ぇえベーヤマ竿だよな。
ブーナマ竿わよぉ、二間以上あんだけどな、ぜーんぜん持ち重りしねぇえし、もーラバンスの妙っつーかよぉ、こりゃあ名人竿忠、さっすがお見逸れしやした。
けどよぉ、ちと二間以上のブーナマ竿な、僕ちんのブーナマ守備範囲じゃああんまし出番ねぇーしよぉ、野釣りの長尺使うよーな所のブーナマわよぉ、くっそでけぇし、鯉の野郎も多いからぁ貴族高級和竿怖くて使うの躊躇しちまうんだよなぁ。
去年もよぉ、春先に新利根でな、二代目竿辰の貴族高級ブーナマ和竿の手元とぉ五番目半端ねぇくっそでけぇ鯉の野郎によぉ、ぼっきんぼっきにへし折られちまったんだ。
つー事でぇ、
どどーんとぉ、買っちまったんわよぉ、淡竹根掘りがぁワイヒーな方のな、貴族高級竿忠四代目ベーヤマ和竿なんだわ。
十一尺でよぉ、ベーヤマ竿にしちゃあちと強ぇえ穂先が付いててな、値札に鮒竿って書いてた通り、竿忠親方曰く、ブーナマでも十二分に相手になんぞとの事だ。
クチわ四代目竿忠親方のトレード・マークみてぇな、金の虫喰い塗りでよぉ、これで僕ちんも貴族で侍で横綱なんが、更に一階級アップしたみてぇだぜ。
二年前迄わよぉ、よーくベーヤマ釣りもぉ行ってたけどな、いっつも行ってたぁ二個玉の川もよぉ、鵜の野郎に荒らされちまってからわぁ、ここんとこさっぱしご無沙汰だぁ。
へさべさによぉ、この貴族高級竿忠四代目ベーヤマ和竿買っちまったしよぉ、どっかベーヤマ沢山居る所も開拓しねぇといけねぇや。
まーそん前によぉ、どーやって家のおっかぁに銭返すかもぉ考えねぇといけねぇんだけどな。